「メタバースを活用したいが、費用の桁すら見当がつかない」 「上司に概算を聞かれたが、業者によって見積もりが違いすぎて説明できない」
これは、行政や企業の担当者様から、私のもとへ最も多く寄せられる相談の一つです。
総務省の「令和5年版 情報通信白書」によると、日本のメタバース市場は2026年度には<strong>1兆円規模</strong>に達すると予測されており、その急成長に伴い、企業の導入手法も多様化しています。
結論から申し上げますと、メタバースの費用相場は「30万円~3,000万円以上」と非常に幅広く、目的と手段によって雲泥の差があります。
この幅の広さが、導入検討を難しくしている最大の要因です。
そこで本記事では、「適正予算」を導き出すための2026年現在のメタバース開発・構築費用の相場を、隠れがちな「維持費」や「出店費用」も含めて徹底解説します。
佐藤 旭:起業家Vtuber / Unlimited Potential代表 / ミライLaboプロデューサー
愛・地球博20周年祭「ミライLabo 2nd」や地方創生プロジェクトに参画。
メタバースを活用し、人と地域・社会をつなぐ新しい価値づくりに取り組んでいます。
この記事の目次
メタバース構築・開発費用の相場【2026年版】
メタバースの費用を考える際、最も重要なのは「家を建てる(独自開発)」のか、「テナントを借りる(既存プラットフォーム出店)」のかという区別です。
まずは、担当者様が稟議や企画書を作成する際に基準となる、目的別の費用目安を一覧にまとめました。
【早見表】目的別・規模別の費用目安
| 活用タイプ | 費用の目安 | 内容・特徴 | おすすめのケース |
|---|---|---|---|
| 既存PF出店 (小規模) |
10万~100万円 初期費用を極力抑えられる |
VRChatやCluster等の既存空間に、ブースやルームを制作する。 | テストマーケティング ・まずは低予算で試したい ・短期イベントを実施したい |
| 中規模イベント (パッケージ利用) |
100万~500万円 標準的な予算感 |
既存プラットフォーム上で、オリジナルの会場や演出を作り込む。 | PR・採用目的 ・自治体のPRイベント ・企業の採用説明会 |
| 独自開発 (大規模・システム構築) |
1,000万円~(青天井) 高額なシステム開発費が発生 |
自社専用のメタバースシステム(アプリ・Web)をゼロから開発。 | 自社資産化・本格運用 ・顧客データを自社で管理したい ・社内DXや常設サービスとして運用 |
※上記は制作・開発にかかる初期費用(イニシャルコスト)の目安です。これとは別に、サーバー代などの維持費(ランニングコスト)が発生します(後述)。
費用を左右する3つの変動要素
なぜ、これほどまでに金額に開きが出るのでしょうか。見積もりの内訳をブラックボックスにしないために、費用を大きく左右する「3つの変動要素」を押さえておきましょう。
1. プラットフォームの選定(どこで作るか)
費用への影響度が最も大きいのがこの要素です。 既存のメタバース(Cluster、VRChat、Robloxなど)を利用する場合、システム開発費は不要で、かかるのは「3D空間(ワールド)の制作費」のみです。
一方、自社独自のアプリやブラウザシステムを開発(フルスクラッチ)する場合、数千万円単位のシステム開発費が発生します。
2. 機能の複雑さと同時接続数
「ただアバターで歩き回るだけ」なら安価ですが、そこに「ECサイトとの連携」「音声会話」「高画質な動画配信」といった機能を追加するたびに開発費は加算されます。
また、同時接続人数(1つの空間に何人入れるか)も重要です。
数十人規模なら安価なサーバーで済みますが、数千人が集まる音楽ライブのようなイベントでは、負荷分散のための高度なサーバー設計が必要となり、費用が跳ね上がります。
3. 3Dモデル(クリエイティブ)の品質
空間やアバターの見た目(クオリティ)です。
フリー素材の組み合わせであれば数万円で済みますが、「自社商品をリアルに再現したい」「写真のような美しい街並みを作りたい」となれば、3Dモデラーの人件費が工数分だけかかります。
Webサイト制作で「テンプレートを使うか、完全オーダーメイドで作るか」の違いと同じだとイメージしていただくと分かりやすいでしょう。
【比較】「自社構築」vs「プラットフォーム出店」の費用と特徴
メタバースの費用対効果を最大化するためには、自社の目的が「自社構築(フルスクラッチ)」と「プラットフォーム出店」のどちらに適しているかを見極める必要があります。
これを不動産に例えると、「更地に自社ビルを建てる」か、「イオンモールのような商業施設にテナント出店する」かの違いに似ています。それぞれの費用感と特徴を比較してみましょう。
| 比較項目 | 自社構築 (フルスクラッチ) |
プラットフォーム出店 (VRChat/Cluster等) |
|---|---|---|
| 費用の目安 (初期) |
1,000万円~数億円 システム開発費が膨大にかかるため、高額になりがち。 |
数万円~500万円 システム開発不要。ワールド制作費のみで済むため安価。 |
| 自由度・拡張性 | 極めて高い 独自機能、デザイン、決済システムなど、思い通りに実装可能。 |
プラットフォーム依存 「できないこと」が多い。規約や機能制限の範囲内での表現に限られる。 |
| データ資産・集客 | 顧客データを自社保有 ただし、集客はゼロから自力で行う必要があり難易度は高い。 |
データ取得に制限あり 会員情報はPF側のもの。ただし、既存ユーザーの流入が期待できる。 |
| おすすめのケース | ・社内DXや機密情報の利用 ・独自の経済圏を作りたい ・予算が潤沢にある長期PJT |
・イベントやキャンペーン利用 ・広報、PR、ファンコミュニティ ・まずはスモールスタートしたい |
※【自由度・拡張性について】工夫次第で様々な実装が可能なケースが多々あります。このあたりも含め「このプランだと想定していることの内どこまで実現可能なのか」を綿密に相談してみると良いでしょう。
自社構築(フルスクラッチ)のメリットと費用感
自社専用のアプリやブラウザベースのシステムをゼロから開発する手法です。
費用相場:1,000万円~数億円
メリット:
- 完全な自由度:機能、デザイン、セキュリティ要件をすべて自社仕様にできます。
- データの資産化:来場者の行動ログや会員情報を自社で完全に保有・管理できます(ここが企業にとって最大の利点です)。
- リスク管理:プラットフォーム側の規約変更やサービス終了の影響を受けません。
デメリット:
- 初期費用と維持費が非常に高額。
集客の難易度が高い(ゼロからアプリをダウンロードさせる必要がある)。
既存プラットフォーム出店(VRChat/Cluster等)のメリットと費用感
既に多くのユーザーがいる既存のメタバースサービス(Cluster、VRChat、Robloxなど)の中に、自社のワールドやブースを制作する手法です。
費用相場:数万円~500万円(※プラットフォームにより無料枠もあり)
メリット:
- 圧倒的な低コスト:システム開発費がかからず、ワールド制作費のみで済みます。
- 初期集客の優位性:既にそのプラットフォームにいるユーザーが遊びに来てくれる可能性が高いです。
- サーバー管理不要:インフラはプラットフォーム側が管理するため、突発的なアクセス増にも強いです。
デメリット:
- プラットフォームの規約に縛られる(表現規制や商用利用の制限など)。
- 取得できる顧客データに制限がある。
※ただし、ワールドの規模間や制作内容次第で上限コストは大きく変動します。
【判断基準】行政・企業はどちらを選ぶべきか?
「結局、うちはどちらを選べばいいのか?」と迷われる担当者様へ、失敗しないための判断基準を提示します。
「プラットフォーム出店」を選ぶべきケース
- 目的が「広報・PR・認知拡大」である場合。
- 単発のイベントやキャンペーンでの利用。
- まずは低予算(数百万円以内)でテストマーケティングをしたい場合。
- 行政の観光PRや、若年層向けのブランド体験など。
「自社構築」を選ぶべきケース
- 目的が「社内業務のDX」や「機密情報の扱い」である場合。
- メタバース上で独自の経済圏(EC販売や決済)を本格的に構築したい場合。
- 既存プラットフォームの利用規約では実現できない特殊な機能が必要な場合。
多くの企業様には、まずはリスクの低い「プラットフォーム出店」からスモールスタートすることをおすすめしています。
そこで知見を溜めた後に、必要に応じて自社構築へステップアップするのが、最も費用対効果(ROI)の高い進め方です。
メタバース活用の具体的な費用事例
「相場は分かったけれど、実際に自社がやりたいことには幾らかかるの?」 その疑問にお答えするため、行政や企業でよくある3つの活用パターンについて、具体的な費用感と内訳を解説します。
バーチャルイベント開催(数万~100万円超)
自治体の地域PRイベントや、企業の採用説明会、展示会などを数日~数週間の期間限定で開催するケースです。
費用感:数万円~100万円以上
費用の内訳:
- 会場費:既存プラットフォームのテンプレート会場を使えば無料~数万円。
- 制作費:オリジナルの特設会場を作る場合、50万~100万円。
- 運営費:当日の進行スタッフやアバター操作員の人件費。
ポイント: 最も手軽に始められる活用法です。最初はテンプレート会場を利用してコストを抑え、集客(Webマーケティング)に予算を回すのが成功の秘訣です。
常設店舗・ショールーム制作(50万~300万円)
リアル店舗のように、24時間365日アクセスできる「企業の顔」となる空間を制作するケースです。ECサイトと連携して商品を販売したり、観光地の魅力を発信したりします。
費用感:50万~300万円
費用の内訳:
- 空間デザイン費:ブランドイメージに合わせた高品質なワールド制作費。
- 3Dモデリング費:商品や展示物を3Dデータ化する費用(1点あたり数万円~)。
- 機能実装費:ECサイトへのリンク設置や、チャットボットの導入など。
ポイント: こだわればキリがありませんが、まずは「主力商品」や「見せたいエリア」に絞って3D化することで、予算を100万円前後に抑えることが可能です。
社内会議・研修・業務効率化(月額サブスク利用等)
自社専用のメタバースを開発するのではなく、既存の「ビジネス用メタバースツール(SaaS)」を導入して、リモートワークの課題を解決するケースです。
費用感:初期費用0円 + 月額数万円(サブスクリプション)
費用の内訳:
- ライセンス利用料:1ユーザーあたり月額500円~2,000円程度(oVice、Horizon Workroomsなど)。
ポイント: 開発費(イニシャルコスト)がかからないため、稟議が通りやすいのが特徴です。
まずは部署単位で導入し、費用対効果を検証してから全社展開することをお勧めします。
見落としがちな「維持費」とランニングコスト
稟議を通す際、もっとも注意が必要なのが「作って終わりではない」という点です。Webサイトと同様、メタバースも公開後の維持費(ランニングコスト)が発生します。
ここを予算化していないと、「作ったはいいが運用予算がなく、数ヶ月で閉鎖」という事態になりかねません。
主な維持費は大きく分けて2つあります。

サーバー費用とクラウド利用料
メタバース空間を維持し、ユーザーがアクセスできるようにするためのインフラ費用です。
既存プラットフォーム出店の場合
- 月額:0円~数万円
- 基本的にプラットフォーム側のサーバーを利用するため、安価に抑えられます。ただし、ビジネスプラン(企業向け機能)を利用する場合は、月額サブスクリプション費用が発生します。
自社構築(フルスクラッチ)の場合
- 月額:数万円~100万円以上(従量課金)
- AWSやAzureなどのクラウドサーバー費用がかかります。注意すべきは「同時接続数(CCU)」です。イベント開催時などでアクセスが急増すると、サーバー負荷に応じて料金が跳ね上がるリスクがあるため、余裕を持った予算設計が必須です。
コンテンツ更新・イベント運営費
メタバースで最も恐れるべきは、「誰もいないただの空間」になってしまうことです。 ユーザーにリピートしてもらうためには、空間やイベントを定期的に更新し続ける必要があります。
- 空間のアップデート費
- 「クリスマスの飾り付け」「新商品の3Dモデル追加」など、季節や商戦に合わせた改修費用。都度、制作会社への依頼費(数万円~)が発生します。
- イベント運営費・人件費
- バーチャルイベントを開催する場合、司会進行のアバター操作員(キャスト)や、トラブル対応をするスタッフの人件費が必要です。
これらを含めると、初期構築費の「年間10~20%程度」をランニングコストとして見込んでおくと、健全な運営が可能になります。
メタバース導入で失敗しないための3つのポイント
多くの企業が「メタバースを作ること」自体をゴールにしてしまい、公開から数ヶ月で過疎化させてしまう事例が後を絶ちません。
費用をドブに捨てないために、稟議書の段階で必ず押さえておくべき「3つのポイント」があります。
1. 「流行りだから」を捨て、目的を数値化する
「競合他社がやっているから」「なんとなく先進的だから」という動機で始めると、ほぼ確実に失敗します。 抽象的な目的ではなく、「解決したい経営課題」と「数値目標(KPI)」をセットで設定してください。
- 悪い例:「若者向けのPRをしたい」
- 良い例:「20代のブランド認知率を5%向上させるために、既存SNSでは届かない層との接点をメタバースで作る。目標来場数は3,000人」
目的が数値化されていれば、おのずと「3,000万円かけるべきか、30万円で試すべきか」の判断がつきます。手段(メタバース)の前に、目的(ゴール)を研ぎ澄ませてください。
2. スモールスタートで検証サイクルを回す
いきなり数千万円をかけて完璧な「自社ビル(フルスクラッチ)」を建てることは経験上おすすめしません。
メタバース市場は変化が激しく、ユーザーの行動様式も確立されていません。
最初は既存プラットフォームを利用した小規模なイベント(スモールスタート)から始め、 「ユーザーはどんなアバターで来るのか?」「どのエリアに滞在するのか?」 といったデータを収集・分析してください。
そこで得た知見をもとに、徐々に予算を増やして拡張していくのが、最もリスクの低い成功ルートです。

3. 集客導線(Webマーケティング)をセットで設計する
これは私がコンサルタントとして最も強調したい点です。 「素晴らしい空間を作れば、勝手に人が集まる」ということは、Webの世界でもメタバースの世界でもあり得ません。
Webマーケティングの世界では、一般的なWebサイトのお問い合わせ率(CVR)の平均は約2.35%と言われています。
出典:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry
しかし、アプリ版メタバースの場合、ユーザーは「アプリのダウンロード」→「アカウント作成」→「アバター設定」という重い作業(フリクション)を乗り越えなければなりません。
そのため、何の戦略もなしに誘導した場合、最終的な来場率は1%を大きく下回るのが現実です。
だからこそ、SNSや広告で「行きたい!」という熱量を極限まで高める集客設計が、制作と同じくらい重要なのです。
予算配分を考える際は、制作費だけでなく「集客費」を必ず確保してください。
SNSでの告知、Web広告、プレスリリース、インフルエンサーなどアンバサダーの起用、既存顧客へのメルマガ配信など、「どうやってその空間まで連れてくるか」という導線設計がないメタバースは、無人島に豪華ホテルを建てるようなものです。
メタバース関連のよくある質問
最後に、ご相談の際によくいただく質問をQ&A形式でまとめました。
Q1. メタバース体験には高価なVRゴーグルが必須ですか?
A.必須ではありません。
ビジネス向けのメタバース(ClusterやVRChatのイベント利用など)の多くは、PCやスマートフォンだけでも参加可能です。
もちろん、VRゴーグル(Meta Quest 3など/7万円前後~)があれば没入感は高まりますが、集客を考える際は「スマホユーザー」をメインターゲットにするのが一般的です。
まずは手持ちのデバイスでスモールスタートすることをお勧めします。
Q2. 開発費用に使える「補助金」はありますか?
A.はい、活用できる可能性があります。
「IT導入補助金」や「事業再構築補助金」、または各自治体独自のDX推進助成金などが対象になるケースがあります。
ただし、補助金の公募要領は年度ごとに変わり、メタバースが対象外となる場合もあります。
申請を検討される際は、最新の公募情報を確認するか、補助金申請サポートの実績がある制作会社へ相談するのが確実です。
Q3. 見積もりが「一式」ばかりで詳細が分かりません。どうすればいいですか?
A.「内訳(工数)」の提示を求めてください。
「制作費一式:500万円」という見積もりは危険です。
「3Dモデリングに何人日」「機能開発に何人日」といった工数ベースの内訳を出してもらうことで、その金額が適正かどうかを判断できます。
もし内訳の提示を渋る業者であれば、その時点で契約を見送るのも一つの判断基準です。
まとめ:適正予算で成果を出すなら「無料相談」から
本記事では、2026年最新のメタバース費用相場と、失敗しないための判断基準について解説しました。 重要なポイントは以下の3点です。
- 相場の幅を知る:既存PF利用なら数万円~、独自構築なら1,000万円以上かかる。
- 維持費を見込む:構築費の10~20%程度を年間のランニングコストとして確保する。
- 目的から逆算する:「何を作るか」ではなく「何を解決したいか」で予算を決める。
メタバース活用において、「予算をかければ良いものができる」ということはありません。
最も大切なのは、御社の課題解決に「ちょうどいいサイズ」のプランを選ぶこと。
もし、「自社の場合、具体的にいくらで何ができるのか知りたい」「手持ちの予算内で最適なプランを提案してほしい」とお考えでしたら、ぜひ一度弊社の無料相談をご活用ください。
実例をもとに「御社のビジネスにおけるメタバースの費用対効果」をご提案いたします。
\最後にお知らせです!/
当ブログでは、メタバースに関する情報発信の他に「メタバース制作や企画」「3Dアバター制作」「イベント登壇」「勉強会開催」など、様々なご要望にお応えできるサービスをご用意しています!
お気兼ねなくご相談をお寄せください!

