この記事では、Meta社のFacebook広告で画像・動画などのメディアやテキストなどのクリエイティブを複数設置し、検証する「ダイナミッククリエイティブ」の設定方法について図解入りで解説します。
Facebook広告は低予算から利用でき、尚且つ広告の最適化に優れているため、利用しやすいWeb広告です。とはいえ、広告は出したらいきなり成果が出るわけではなく、検証と改善を繰り返しながら精度を高め、コンバージョン率を高めてゆく必要があります。
その検証の過程で必要なことの一つに「クリエイティブの最適化」があります。Facebook広告におけるクリエイティブとはメディア(画像や動画)、メインテキスト、見出し、説明、コールトゥアクションなどが含まれますが、最適化させる過程で「どれが一番反応がとれるのか」テストをする必要があります。
とはいえ、複数広告を出すとコストがかさむので、いきなり行うことは難しい方も多いと思います(筆者がこれに当たります)。そんな時に便利なのが「ダイナミッククリエイティブ」です。
ダイナミッククリエイティブを使うことで、クリエイティブを複数一気にテストすることができます。そうすることで、コストを増さずに一番反応が得やすいメディアのクリエイティブを見つけやすくなります。
順を追って解説してゆきますので、より反応のとれるメディアのクリエイティブを検証したい方は参考にしていただけたら嬉しいです!
Unlimited Potential代表 佐藤旭
ブログ・Webメディア集客の専門家 / 書籍「UP-BLOG」著者(厚有出版)
広告収益のみを狙う「ブロガー型メディア」ではなく、同一ブログ上にて物販・コンテンツ販売・自社オンラインサロン販売・自社コンサルティングサービス販売を多面展開する「集客用資産メディア」の構築を個人・法人クライアントに指導するこの道10年の専門家。
この記事の目次
Facebook広告で一番重要なのはクリエイティブである2つの理由
Facebook広告で一番重要なのはメディアのクリエイティブであると言えます。その理由は、以下のとおりです。
- Facebook広告は、ユーザーのタイムラインに表示される広告です。そのため、ユーザーの注意を引き、興味を引くクリエイティブでなければ、ユーザーの目に止まらず、クリックされる可能性が低くなります。
- Facebook広告は、ユーザーの興味や関心に合わせて配信されます。そのため、ユーザーの興味や関心に合ったクリエイティブでなければ、ユーザーのニーズを満たすことができず、効果的な広告とは言えません。
もちろん、クリエイティブ以外にも、配信設定やターゲティングなど、さまざまな要素がFacebook広告の効果に影響を与えます。しかし、クリエイティブは広告でユーザーが一番初めに目にとまる要素なので、成否を左右する重要な要素であることは間違いありません。そのため、Facebook広告を効果的に運用するためには、クリエイティブの作成に十分な時間をかけて、工夫することが重要です。
筆者も今、Facebook広告を運用中ですが、クリエイティブを変えるとクリック率が目に見えて変化して驚きました。特にFacebook広告の場合、スクロールをしながら利用するため、「なにこれ?!」と目に止まらないとそもそも始まらないわけです。
反応の取れやすいクリエイティブのコツ
具体的には、以下の点に注意してクリエイティブを作成すると効果的です。
- ユーザーの注意を引くキャッチコピーや画像を作成します。
- ユーザーの興味や関心を引く内容を作成します。
- ユーザーの行動を促すCTA(Call to Action)を作成します。
また、ターゲットユーザーを明確にすることで、より効果的なクリエイティブを作成することができます。ターゲットユーザーの年齢、性別、興味、関心などを考慮して、クリエイティブを作成する必要があります。
こうしたことを加味すると、一体どのようなメディアやテキストなどの組み合わせが最適なのかを決めにくいですし、Aが良いと思っていたけど、蓋を開けてみたらBだったというケースも有り、クリエイティブでかなり手こずりそうですよね。
こんな時に活用したいのが、「ダイナミッククリエイティブ」です。
ダイナミッククリエイティブの特徴と注意点
Facebook広告のダイナミッククリエイティブとは、見出し、画像、テキスト、説明文などをあらかじめ登録しておくことで、それらの要素を組み合わせて自動で広告を生成してくれる機能です。
ダイナミッククリエイティブは、以下のメリットがあります。
- クリエイティブの作成・管理の手間を削減できます。
- ユーザーの興味や関心に合わせて最適な広告を配信できます。
- キャンペーンのパフォーマンスを向上させることができます。
ただし、ダイナミッククリエイティブを使う際に注意することもあります。
ダイナミッククリエイティブの登録制限
ダイナミッククリエイティブで登録し、使える広告素材の数は、以下のとおりです。
- 画像または動画:最大10個
- テキスト:最大5個
- 見出し:最大5個
- 説明文:最大5個
- コールトゥアクション(CTA):最大5個
画像と動画はいずれか片方しか選べず、URLは1つしか指定出来ませんが、合計数で最大30個まで広告素材を登録できるため自由度は高いといえるでしょう。
ダイナミッククリエイティブでは、上記個数全てを登録すれば、最大31,250通りの広告を出稿することができます。(Facebook広告が自動で行いますので、こちらで組み合わせを選べません)
なお、ダイナミッククリエイティブは、1件の画像または1件の動画を使用する広告フォーマットのみが対象となります。
ダイナミッククリエイティブを使う時の注意点
ダイナミッククリエイティブは非常に便利な機能ですが、いくつか注意点があります。
運用中の広告では使えない
ダイナミッククリエイティブは、既に運用中の広告に途中で変更して利用することができません。もし、今運用中の広告に対し、クリエイティブを複数試してみたい場合は、広告セットを複製してダイナミッククリエイティブをONにし、新しく作った広告を活用してください。
ただ、広告セットを複製して活用する場合、そのまま広告を出すと広告をもう一つ出すことになってしまいます。(要はコストが増える。)そのため、コストを増やしたくない場合は、ダイナミッククリエイティブを使っていない方の広告を止め、使っている方の運用に切り替える必要があります。
A/Bテストに不向き
ダイナミッククリエイティブでは、登録した広告素材の組み合わせで広告が生成されます。そのため、A/Bテストを実施すると、広告素材の組み合わせが均等に配信されず、正確な結果を得ることができません。
ただし、「メディアだけ」という風に切り替わる要素を一種にすれば、A/Bテストに近いことは実施可能です。
この場合、ダイナミッククリエイティブで以下の設定を行います。
- 画像:画像1、画像2
- テキスト:固定
- 見出し:固定
- 説明文:固定
- コールトゥアクション:固定
この設定を行うと、画像1と画像2の組み合わせで広告が生成されます。そのため、コンバージョン数やクリック率などの指標を比較することで、どちらの画像の方が効果的かを判断することができます。
ただし、この方法には以下の2つの注意点があります。
配信量が均等にならない:ダイナミッククリエイティブでは、Facebookのアルゴリズムによって、ユーザーの興味や関心に合わせて最適な広告が配信されます。そのため、画像1の方が効果的であるにもかかわらず、画像2の方が多く配信される可能性があります。
すべての広告素材の組み合わせをテストできない:ダイナミッククリエイティブでは、画像のみを複数登録した場合、画像の組み合わせでしかA/Bテストを行うことができません。テキストや見出し、説明文などの組み合わせをテストしたい場合は、ダイナミッククリエイティブ以外の方法を検討する必要があります。
これらの注意点に留意して、ダイナミッククリエイティブを活用することで、擬似的なA/Bテストを行うことができます。
配信が偏ってしまうことがある
ダイナミッククリエイティブでは、Facebookのアルゴリズムによって、ユーザーの興味や関心に合わせて最適な広告が配信されます。そのため、特定の広告素材の組み合わせが偏って配信されることがあります。
一度設定すると修正できない
ダイナミッククリエイティブの設定を一度変更すると、過去に配信された広告はすべて無効になります。そのため、設定を変更する際には注意が必要です。
これらのデメリットを踏まえて、ダイナミッククリエイティブを利用する際には、以下の点に注意しましょう。
- A/Bテストを実施する必要がある場合は、ダイナミッククリエイティブ以外の方法を検討する
- 配信の偏りが気になる場合は、ターゲティングを調整する
- 設定を変更する場合は、過去に配信された広告がすべて無効になることに注意する
ダイナミッククリエイティブは、広告の作成・管理の手間を削減し、ユーザーの興味や関心に合わせて最適な広告を配信できる便利な機能です。しかし、デメリットを理解した上で運用することで、より効果的に活用することができます。
A/Bテストとの違い
クリエイティブで最も重要なのは、反応がとれることです。そのために、最も反応がとれるクリエイティブをテストを経て選定・厳選してゆきます。この時にもっともポピュラーな方法がA/Bテストです。
A/Bテストとは、クリエイティブや、配信ターゲットなど、変数を1つに絞り、その比較を行うことを指します。例えば、配信ターゲットは同じだけど、クリエイティブのメディア画像だけ異なる。などが挙げられます。
A/Bテストを行うメリットは、一部の異なる2つの広告を配信して効果を比較できるため、「何が良かったのか・悪かったのか」ということが明確に分析出ることです。代わりに、純粋に広告を2つ出すことになるため、コストが倍になってしまうデメリットがあります。
A/Bテスト以外にも、一部の異なる広告を複数同時に出し、比較する方法もあり、この方が比較できるパターン数が多いため、より成果の出るクリエイティブなどを厳選することができます。
しかし、この場合も出す広告の数だけコストがかかることになります。
対してダイナミッククリエイティブの場合、配信ターゲットなどは1通りですが、一つの広告に複数のクリエイティブをセットでき、何通りもの組み合わせをFacebook広告が自動で行い、計測してくれます。
代わりに、自分で組み合わせをコントロールできないなどの先述したデメリットや注意点があります。
ダイナミッククリエイティブの使い方・設定方法
ここからは、実際に用意したメディアなどを複数設定して検証・広告の最適化を行える「ダイナミッククリエイティブ」のやり方について順を追って解説してゆきます。
なお、本記事ではFacebook広告を出すまでの流れを網羅していません。もし、これから初めてFacebook広告を出すのであれば、筆者が参考にし、超わかりやすくて助かった動画を以下にご紹介します。
動画はダイナミッククリエイティブについては触れていませんので、並行して活用していただくと確実です。
→【2023年最新】meta広告出し方解説!(instagram・facebook)初心者向けに画面共有で設定から運用まで
ダイナミッククリエイティブの設定手順
以下は、Facebook広告の「広告マネージャ」で行います。キャンペーンの詳細を設定後、広告セットの設定画面になりますが、ここにダイナミッククリエイティブをオンにするかどうかの設定ボタンがあります。(下図参照)
広告セット画面でダイナミッククリエイティブをONにし、その他の設定をした後に広告ページに進みます。そうすると、クリエイティブのセクションでメディアなど、各種クリエイティブを複数登録することができるようになっています。(下図参照)
各クリエイティブの最大登録可能数は、途中で解説したとおりなので割愛します。ここでは、試しにメディアを登録します。「メディア」見出しの下に「画像を選択」とありますので、クリックをすると下図のような画面になります。
動画を選択したり、作成をしても問題ないですが、ダイナミッククリエイティブでは、メディアは画像と動画どちらかしか選べません。
既にアップロードしてある画像を使うことはもちろん、「+アップロード」をクリックすることで、新たにメディアを追加することが可能です。
この他にも「テキスト」「見出し」「説明文」「コールトゥアクション」の設定も行えます。複数の組み合わせを試したい場合は、忘れずに設定をしておきましょう。
より反応のとれるLPを作る方法
Facebook広告のクリエイティブ設定ができ、クリック率などが向上したら、LPに誘導するケースが多いと思います。より成果の出やすいLPを作りたい方にむけ、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてお読みいただき、ご活用ください!
→ランディングページの効果を高める戦略と成果を出す最適化5つのコツ
ダイナミッククリエイティブの効果測定方法
ダイナミッククリエイティブは詳細な組み合わせはわかりませんが、どのクリエイティブがどれだけ反応があったのかといった効果測定を行うことができます。
クリエイティブごとの確認は、Facebook広告のレポートページ右側にあるテーブルのカスタマイズで行います。
下図のように、【ダイナミッククリエイティブアセット】の欄に各クリエイティブの選択ボックスがありますので、確認をしたいものにチェックを入れます。
例えば【動画・画像・スライドショー】の場合は、下図のように、それぞれのクリエイティブに対しての効果が数値化されているものを確認することができます。
更に詳しく、期間での変化などの推移を確認したい場合は、画面左上のほうにあるメニューから【トレンド】を選択し、次に画面右側の【トレンドチャートのカスタマイズ】で確認をしたい項目にチェックを入れます。
そうすると、下図のようにクリエイティブ毎に日毎にどうだったのかということが確認できます。
正確な組み合わせがわからないのは残念ですが、例えば設定をするクリエイティブが画像のみといった一種に絞られている場合はクリック率などで比較すれば、より反応が取れるクリエイティブ選定の基準になります。
一つ参考にしていただければと思います。
まとめ
以上が、Facebook広告でクリエイティブを複数設置し、検証する「ダイナミッククリエイティブ」の設定方法でした。
ダイナミッククリエイティブは、複数の画像、動画、テキスト、見出し、説明文、コールトゥアクション(CTA)を事前に登録し、これらの要素を組み合わせて自動で広告を生成する機能です。
この機能の利点は、クリエイティブの作成と管理の手間を削減し、ユーザーの興味や関心に合わせて最適な広告を配信できることですが、デメリットや注意点があるので、この点をよく理解した上で使う必要があります。
とはいえ、コストを抑えて様々なクリエイティブの組み合わせを試せるのは魅力的な機能と言えます。予算面でA/Bテストが難しい場合、苦肉の策とも言えますが、使ってみるのも良いのではないでしょうか。