メタバースとブロックチェーン、は昨今のWeb3関連のニュースで度々取り上げられますがこの2つの関係性が曖昧ではないでしょうか。厳密に言うと、メタバースの全てがブロックチェーンを採用しているわけではありませんが、その技術であるNFT(非代替性トークン)の導入を採用する事例が増えてきています。
そもそもメタバースは仮想現実空間を指し、ブロックチェーンはデジタルデータの所有権や取引を明確にする技術を指します。そんなブロックチェーンがメタバースの所有権や取引を可能にし、NFTはその具体的な証明となります。これらの技術の組み合わせが、新たなデジタル経済の形成を支えることに期待が寄せされています。
そこでこの記事では、メタバースとブロックチェーン、そしてNFTとの関係性を詳細に解説します。具体的な事例を交えながら、これらの技術がどのように絡み合い、どのような影響をもたらしているのかを明らかにします。また、これらの技術がどのように進化し、未来のデジタル世界にどのような影響を与えるのかについても考察します。
これからのデジタル経済の動向を理解するために、メタバースとブロックチェーン、そしてNFTの関係性を理解することは必須です。この記事を通じて、その理解を深めていただければ幸いです。
佐藤 旭:起業家Vtuber / メタバースプロジェクト「Worweld」リーダー
2022年に初めてメタバースの世界に触れたことをキッカケに魅了され、「次世代のビジネスモデルをクリエイターと創り、他事業のマーケティングに貢献する」をコンセプトにメタバースプロジェクトを発足。
地方創生のメタバースプロジェクト参画や、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」内のイベント登壇などの経験があります。
この記事の目次
メタバースとブロックチェーンがつくる新たなデジタル世界の基盤とは
メタバースは仮想空間を指し、ブロックチェーンはデータの所有権や取引履歴を明確にする技術ですが、メタバースとブロックチェーンが組み合わさることで、新たなデジタル世界の基盤が形成されつつあります。このセクションでは、メタバースとブロックチェーンがどのように連携し、新たなデジタル世界を作り出すのかを詳しく解説します。
読むことで、メタバースとブロックチェーンの基本的な理解を深めるとともに、その可能性について理解することができます。
そもそもメタバースとは何か?
メタバースとは、インターネット上の仮想世界のことを指します。この言葉は、SF作家ニール・スティーヴンスンの小説「スノウ・クラッシュ」で初めて登場しました。メタバースは、ギリシャ語の「メタ(meta)」と英語の「universe(世界)」を組み合わせた造語で、「超える世界」を意味します。
メタバースに近いサービスとしては、2003年に運営が開始された仮想世界「Second Life」やオンラインゲーム「Fortnite」などがあります。また、映画「マトリックス」や「レディ・プレイヤー1」もメタバース的な要素を取り入れています。
有名所でいうと「Fortnite」「Roblox」「VRChat」「cluster」「Spatial」などが挙げられます。メタバースというと小難しく感じるかもしれませんが、実は身近なとこで既に一般ユーザー向けのサービスが展開されています。
詳しくは、以下の記事で解説していますので気になったら併せてお読みください。
➝メタバースとは?分かりやすく解説!概念・歴史・用途・プラットフォームなど
ブロックチェーンの役割とは?
ブロックチェーンとは、取引記録を分散型台帳に記録する技術です。取引記録は、暗号化技術を用いてブロックと呼ばれる単位にまとめられ、ブロックチェーンと呼ばれる鎖状のデータ構造に連結されます。ブロックチェーンは、取引記録を改ざんすることが非常に困難なため、信頼性の高いデータベースとして注目されています。
ブロックチェーンは、仮想通貨であるビットコインに最初に採用されましたが、現在では、金融、保険、製造、物流など、さまざまな分野で活用され始めています。例えば、金融分野では、ブロックチェーン技術を用いて、送金や決済をより効率的かつ安全に行うことができます。また、保険分野では、ブロックチェーン技術を用いて、保険金請求の処理をより迅速かつ公正に行うことができるとされています。
この技術を応用したのが「NFT(Non-Fungible Token)」です。詳しくは後述しますが、一定の相互運用性があり、メタバース内でのアイテムや資産の取引が可能となります。メタバースとブロックチェーンの組み合わせにより、新たなデジタル世界の基盤が形成されています。
ただし、全てのメタバースがNFTを採用しているわけではありません。従来のサービスのように独自の決済システムで取引が行えるものも多く存在します。
ブロックチェーンが生み出す新たな価値として注目されるNFTとは?
先にも触れたブロックチェーン技術が生み出す新たな価値として注目されているのが、「NFT(Non-Fungible Token)」です。このセクションでは、NFTがどのようにブロックチェーンから生まれ、それがどのようにメタバースの世界で新たな価値を生み出しているのかを詳しく解説します。
この情報を理解することで、ブロックチェーンとメタバースの関係性をより深く理解することができ、その結果として新たなビジネスチャンスを見つけることができるかもしれません。
NFTとは?
NFTとは、Non-Fungible Tokenの略で、日本語では「非代替性トークン」と呼ばれます。NFTは、ブロックチェーン技術を用いて、デジタルデータに唯一無二の価値を付与したものです。NFTは、画像、動画、音声、ゲームアイテムなど、さまざまなデジタルデータに使用することができます。
NFTの特徴は、以下のとおりです。
- 唯一無二の価値を有する
- 改ざんや複製が困難である
- ブロックチェーン上に記録されるため、取引の透明性が高い
- デジタルデータの所有権を明確にできる
NFTは、まだ発展途上ではありますが、今後、さまざまな分野で活用されることが期待されています。例えば、アート作品、音楽、ゲームなどのデジタルコンテンツの販売や、デジタル資産の投資などが挙げられます。
具体的な例として、従来であればデジタルアートはコピーが簡単にでき、所有権を主張することが困難でした。対してNFT化させることで、デジタルアートに独自のコードを埋め込み、どの様なルートで取引され、今現在の所有権が誰にあるのかを明確にすることができるようになります。
一部ではありますが、海外のデジタルアーティストが枚数限定でデジタルアートをNFT化し、富裕層を中心に1枚数百万円で取引をする。といった手で描かれた絵画と同じ扱いで流通しているものもあります。
NFTはまだ用途として資産運用の色が濃いですが、社会問題にもなっているデジタル作品の盗用といったことにも大きく貢献すると見られており、「デジタル商品や作品=コピーされるもの」から「所有権や著作権を明確に主張できる」手段としても注目されています。
メタバース内でのNFT活用事例
NFTはどのように活用されているのでしょうか。先程の海外での取引以外にも、一部のメタバースでの活用されています。具体的にはメタバース内での土地や建物、アート作品などはNFTとして表現され、それぞれの所有権がブロックチェーン上で確認できます。
これにより、メタバース内での所有と取引が可能となり、新たな経済活動の場が生まれています。これらの事例を通じて、NFTがメタバースの世界でどのように新たな価値を生み出しているのかを理解することができます。
NFTと連動したメタバースのゲームをBlock Chain Game(BCG)と呼びますが、アイテムなどをNFT化して提供をするクリエイターにも恩恵があることから、運営サイトが一方的に儲かるビジネスモデルとは一線を画すものとして世界的に注目を浴び始めています。
この他にも、イベント参加の証としてNFTが発行されたり、プロジェクトの参加券としてNFTが発行されるケースもあります。最近ですとコインチェック株式会社が「OASIS」というプロジェクトを立ち上げ、それのコミュニティーパスとして「OASIS COMMUNITY PASS NFT(OCP)」が発行され、先行販売分は完売となりました。
メタバースとブロックチェーンの関係性について
メタバースとブロックチェーンの融合は、未来のデジタル世界の形成において重要な役割を果たすと考えられています。このセクションでは、メタバースとブロックチェーンがどのように結びつき、それがどのような未来を生み出す可能性があるのかを詳しく解説します。
読むことで、メタバースとブロックチェーンの基本的な理解を深めるとともに、具体的な活用事例を通じてその可能性を探ることができます。これにより、新たなデジタル世界の形成に対する理解と、それがもたらす可能性についての洞察を得ることができます。
メタバースにおけるブロックチェーン3つの役割
先にも触れたように、メタバースとは、インターネット上の仮想世界を指す言葉で、ブロックチェーンはその仮想世界を支える技術として期待されています。ブロックチェーンは、誰でも参照できる公開された記録簿として機能し、データの改ざんが困難なため、メタバース内でのデジタルアセットの所有権を確実に保証することが可能です。
メタバースにおけるブロックチェーンの役割は、以下のとおりです。
- デジタル資産の所有権を管理する
- 取引の透明性と信頼性を高める
- 新しい経済圏を創造する
メタバースでは、さまざまなデジタル資産が取引されます。ブロックチェーン技術を用いることで、デジタル資産の所有権を明確に管理し、取引の透明性と信頼性を高めることができます。また、ブロックチェーン技術を用いることで、新しい経済圏を創造することができます。例えば、NFTを活用することで、アート作品やゲームアイテムなどのデジタルコンテンツを販売することができます。
メタバースは一定の環境があれば世界中どこからでもアクセスが出来る仮想空間です。その中での取引の過程で通過の通貨や偽物の流通といったハードルや懸念点があります。これらの問題はNFTを通して行うことで利用者はより安全で信頼性の高い取引ができるようになる。というわけです。
こうしたことからブロックチェーン技術は、メタバースにおいて重要な役割を果たすと考えられています。ブロックチェーン技術の活用により、メタバースはより安全で、信頼性の高いものになり、新しい経済圏が創造される可能性が高まることに期待が寄せられているのです。
メタバースとブロックチェーンの活用事例
メタバースとブロックチェーンの融合を目指すプロジェクトとして、「Decentraland」、「The Sandbox」、「Cryptovoxels」、「Somnium Space」などが存在します。これらのプロジェクトでは、ブロックチェーンを活用してデジタル不動産の所有権を分配し、仮想世界でのアイテムの所有をユーザー自身が管理できるようにしています。
Decentralandでは、土地の区画や不動産、着用アイテム、ユーザーネームなどがNFTとしてブロックチェーンで管理されており、仮想世界で流通する通貨として「MANA」というトークンが流通しています。
また、The Sandboxは世界で4,000万DLを記録したモバイルゲームのブロックチェーン版で、スクウェア・エニックスなどから累計201万ドルの出資を受けています。
Cryptovoxelsはブロックチェーンベースとしては初のVR対応のメタバース系プロジェクトで、不動産や身に着けるアイテム、ユーザーネームなどがNFTとしてブロックチェーンで管理されています。
Somnium Spaceは本記事で言及した4つのプロジェクトの中ではもっともVRにフォーカスしているプロジェクトで、これまでに100万ドルの資金調達を行っています。
この他にも「XANA」などもNFTマーケットプレイス(NFTの取引所)をもうけ、ユーザーがNFT発行が容易にできる環境を用意するなど、ブロックチェーンを用いたメタバースが徐々に増えてきています。
NFTこそマーケットプレイスこそまだありませんが、国内のメタバースですと「Vket Cloud」がNFTのウオレットと連携できるようにったりと積極的な連携が進められています。この他にも国内ですと、KDDIの「αU」などもアイテムがNFT化されています。
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メタバースと暗号資産(仮想通貨)の関係性について
ブロックチェーンと関係性の深いものとして暗号資産(仮想通貨)が挙げられますが、この2つの関連性はどうでしょうか?このセクションでは、メタバースと仮想通貨、この二つの新興技術がどのように組み合わさることで新たな経済を形成するのか触れてゆきます。
読み進めることで、メタバースと仮想通貨の関連性や、メタバース関連の仮想通貨の選び方について深く理解することができます。これにより、新たな経済の形成に参加するための知識を得ることができます。
具体的なメタバースと暗号資産(仮想通貨)の関連性の事例
メタバースとは、インターネット上の仮想世界のことを指します。近年、このメタバースが大きな市場になる可能性が注目されています。一方、暗号資産(仮想通貨)は、デジタル化された資産や価値の取引を可能にする技術で、ブロックチェーンという技術を基盤にしています。
メタバースと仮想通貨は、互いに補完する関係にあります。メタバースは、仮想世界での取引や所有権の証明に仮想通貨を必要とします。一方、仮想通貨は、メタバースという新たな市場での取引により、その価値や利用範囲を拡大できます。具体的には、ブロックチェーン技術を活用した仮想通貨は、メタバース内でのデジタルアセットの所有権を確認し、取引を透明かつ安全に行うことを可能にします。
具体的には、NFTを介して取引を行いますが、そのNFTを購入するためには暗号資産(仮想通貨)を必要とします。先にご紹介をした「OASIS」では、メタバースを含めたコミュニティーパスがNFTとして発行され、それを購入するためにはイーサリアムという暗号資産が必要です。
つまり、直接的に送金をおこなうというよりも、NFTを介した取引を行うケースが多いということ。そして、それにより従来ですと海外送金にかかっていただ時間とは関係なく、その場で金品の取引が成立し、即座にウォレット(暗号資産やNFTを収めるオンライン上の口座のようなもの)に入金されるため、より迅速な取引が実現できます。
メタバース関連の仮想通貨の選び方
メタバース関連の仮想通貨を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。まず、その仮想通貨が支えるメタバースの規模や将来性を評価することが重要です。具体的には、そのメタバースがどれだけのユーザーを惹きつけ、維持できるか、また、そのメタバースが提供する体験やサービスが魅力的であるかを考えると良いでしょう。
次に、その仮想通貨の技術的な側面を評価します。ブロックチェーン技術の進化により、非代替性トークン(NFT)やスマートコントラクトなどの機能が重要となります。これらの機能は、デジタルアセットの所有権を確認し、取引を自動化することを可能にします。また、その仮想通貨の流動性や市場規模、開発チームの信頼性なども重要な要素となります。
最後に、その仮想通貨の規制環境やリスクを理解することも重要です。仮想通貨は新興の市場であり、規制環境は国や地域により大きく異なります。また、価格の変動性が高いため、投資リスクも高いということを理解しておく必要があります。これらの要素を総合的に考慮し、自身のリスク許容度に合った選択をすることが重要です。
ブロックチェーンを活用したメタバース発展の鍵を握るのはクリエイターである
メタバースとブロックチェーンが組み合わさることで、どのような未来が開かれるのでしょうか?このセクションでは、メタバースをブロックチェーンと組み合わせてゆく上で欠かすことのできないクリエイターの存在について触れてゆきます。
なんとなく「メタバースは、オンランの場」「NFTはよくあるAIアート」みたいなイメージを持つ方がまだ多いと思いますが、実際は沢山のビジネスモデルができつつあります。
メタバースとブロックチェーンがもたらす未来のビジョン。そして、その中であなた自身がどのように活動できるのかを考えるきっかけを得ていただければと思います。
メタバースにおけるクリエイターが活躍できるビジネスモデル
メタバースは、クリエイターにとって新たな表現と経済活動の場を提供します。ブロックチェーン技術の活用により、クリエイターは自身の作品をデジタルアセットとして確実に所有し、それを自由に取引することが可能になります。
これにより、クリエイターは自身の作品を通じて直接的な経済的報酬を得ることが可能となり、新たなビジネスモデルの創出が期待されます。また、メタバース内でのクリエイター活動は、新たな表現の形を生み出し、それがさらなる創造性を刺激する可能性を秘めています。
従来のグラフィックデザイナー以外にも、
- 3Dキャラクターデザインやモデリング
- メタバースのワールドクラフトや空間デザイン
厳密にはクリエイターではありませんが、
- メタバースの運用を提案・最適化するコンサルタント
- メタバース内のイベント進行をするイベンター
などなど、様々なビジネスモデルが生まれてきています。
メタバースとブロックチェーンの関係性についてよくある質問と回答
Q1: メタバース関連の仮想通貨を購入する際のポイントは何ですか?
メタバース関連の仮想通貨を購入する際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。まず、その仮想通貨が具体的にどのメタバースプロジェクトに関連しているのかを理解することが重要です。次に、そのプロジェクトのビジョンや開発チームの信頼性、既に達成したマイルストーンなどを調査します。また、仮想通貨の価格動向や流動性、取引所での取り扱い状況なども重要な判断材料となります。
Q2: メタバースをするためにNFTは必須ですか?
メタバースをするためにNFTは必須ではありません。メタバース単体で稼働するものも多いです。ただし、中にはプロジェクトでNFT購入者しか参加できないメタバースや関連イベントがあります。
そのため、「必須ではないが、プロジェクトによっては必須のケースも有る」というのが回答となります。
まとめ
この記事では、メタバースとブロックチェーン、そしてそれらが生み出すNFTという新たなデジタルアセットの関係性について詳細に解説しました。
まず、メタバースとは、仮想現実空間での新たなフロンティアであり、ブロックチェーンはその信頼とセキュリティを保証する役割を果たしています。これにより、メタバース内での取引や所有権の証明が可能となり、新たな経済活動の場が生まれています。
次に、ブロックチェーンが生み出す新たな価値であるNFTについて解説しました。NFTはデジタルアセットの非代替性を保証し、メタバース内での新たな表現と所有の形を提供しています。これにより、ユーザーは自身のクリエイティブな作品を直接的に経済的価値として換金することが可能となります。
また、メタバースとブロックチェーンの融合により、未来の可能性が広がっています。具体的には、メタバース内でのブロックチェーンの役割や、メタバースとブロックチェーンの活用事例を紹介しました。
さらに、メタバースと仮想通貨の関連性や、メタバース関連の仮想通貨の選び方についても触れました。これにより、メタバースと仮想通貨が共に新たな経済の形成に寄与していることを理解できます。
最後に、メタバースとブロックチェーンの未来、そしてクリエイターによる共創について説明しました。繰り返しになりますが、メタバースに現時点でブロックチェーンは必須ではありません。
しかし、組み合わせることでユーザーにとってより安全で互換性をもたせた体験を提供できることから、今後の展開に期待がされています。
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