2025年6月、2日間で約1.2万人が訪れた愛・地球博20周年記念事業「ミライLabo 2nd」。
この大規模イベントにおいて、「メタバースエリア」の総合プロデュースという大役を担わせていただきました。
本エリアの成功は、ご参加いただいた皆様との「共創」の賜物です。
未来への熱意を注いでくださった企業・団体の皆様、素晴らしい創造性で来場者を魅了したクリエイターの皆様、そして何よりも、好奇心と期待を胸にご来場くださった多くの方々。
皆様一人ひとりのお力添えなくして、この挑戦の実現はありませんでした。
この記事では、”愛・地球博20周年事業の一つであるミライLaboとして”どのような想いでコンセプトを設計し、多様なパートナーの皆様と、いかにして現実とバーチャルが融合する未来の体験を創造したのか。
その舞台裏と、プロジェクトを通じて見えた可能性についてご紹介します。
佐藤 旭:起業家Vtuber / Unlimited Potential代表 / ミライLaboプロデューサー
愛・地球博20周年祭「ミライLabo 2nd」や地方創生プロジェクトに参画。
メタバースを活用し、人と地域・社会をつなぐ新しい価値づくりに取り組んでいます。
この記事の目次
愛・地球博20周年記念事業「ミライLabo 2nd」とは?
「ミライLabo 2nd」は、「ミライをLABOする」をテーマに掲げ、「環境」「スポーツ」「教育」という3つの軸を通じて、未来の社会課題や可能性に楽しく向き合う機会を提供する体験型イベントです。
愛・地球博20周年を記念する公式イベントとして、親子連れからビジネス関係者まで、2日間で合計約12,330人もの方々が訪れ、大きな賑わいを見せました。
プロデュースした「メタバースエリア」の全体構想

今回のプロジェクトで担ったのは、単なるメタバースコンテンツの制作ではありません。
コンセプト設計からステークホルダーとの調整、PR戦略、オフラインでの交流企画まで、エリア全体の成功を担う総合的なプロデュースです。
コンセプトと背景:なぜ今、メタバースなのか?
エリアコンセプトは「メタバース・VRクリエイターと創る未来のラボ」。
近年、メタバース市場は急成長を遂げ、2025年度には国内市場規模が4,000億円に達すると見込まれています。
しかし、その一方でイベントは企業向け(BtoB)や一部の熱心なファン向けに偏りがちで、「興味はあるけれど、どこから触れたら良いかわからない」という一般層が多数存在する、という課題がありました。
この課題認識に基づき、単なる技術展示に終始しない、「誰もが気軽に、そして深くメタバースに触れられる体験の場」を創出することを目指しました。
課題解決のための3つの体験軸
上記のコンセプトを実現するため、来場者の多様な興味関心に応えられるよう、メタバースエリアを大きく3つの体験軸で構成しました。
- 地方創生・企業エリア: メタバースの「社会実装」を具体的に提示し、社会問題の解決やビジネス活用の可能性を示す。
- 体験エリア: 「初めてのメタバース」をテーマに、技術に不慣れな方や親子連れが楽しめる間口の広い体験を提供する。
- クリエイターエリア: メタバース文化の最前線で活躍するクリエイターたちの熱量と創造性を伝え、その奥深さを発信する。
この設計により、来場者はそれぞれの関心に応じてメタバースの世界へ足を踏み入れられるようにしました。
【具体的な取り組み①】多様な出展者が集結!24ブースの具体的内容
出展者はこの構想に共感いただいたクリエイター、企業、行政機関などが一堂に会し、合計24のブースが出展。
各エリアで展開された具体的なコンテンツを、写真と共に一部ご紹介します。
地方創生・企業エリア:社会課題解決の最前線
メタバースを地域振興や産業創造に活用する6つの先進事例を展示。仮想空間が社会課題解決や未来教育のフィールドとしてどう活用されているのか、具体的な形で示しました。
横須賀市文化スポーツ観光部「メタバースヨコスカ」:行政が主導するバーチャル観光と地域PRの好事例として、市内外との新たな交流の可能性を示していただきました。
テクノブレイブ株式会社「熊野古道メタバース」:世界遺産を舞台に、観光・教育・文化伝承を融合。地域資源の継承に新たな手段を提案され、大きな注目を集めました。
株式会社ホビージャパン「ホビースフィア」:メタバース空間でホビーを体験できる、次世代のエンタメとしてユーザー体験を拡張する可能性を提示いただきました。
株式会社V「kaihen」ブース:リアルとバーチャルを融合させたアバター展示体験を通じ、個人の「分身」を可視化することで、自己表現の未来像を共有いただきました。
一般社団法人XR Live「VRフォトグラファーコンテスト」:「VR Photography」という新しいカルチャーを通じ、XR表現の多様性と芸術性を伝え、メタバースが生み出す新たなクリエイティブの形を提案いただきました。
株式会社MCIE「メタバース情報工学学校」:メタバースの未来を担う人材を育成する教育プロジェクトを紹介。次世代クリエイターを育む実践的な学びの場として、来場者の関心を集めました。
体験エリア:初めてのVRに心躍る空間
「初めてのメタバース」をテーマに、幅広い層に向けた体験ブースを用意。視覚・聴覚・身体感覚を通して、バーチャル世界のリアリティを直感的に体験いただきました。
合同会社未来創世塾「阿智村メタバース商工会」:日本一の星空と名高い長野県阿智村の魅力をバーチャル空間に再構築。地域の課題と希望を来場者に直接語りかける構成が高く評価されました。
エンジンかずみ氏「NaGisa」体験ブース:VRChatで人気のワールドと会場をリアルタイムで繋ぎ、双方向コミュニケーションを実現。親子連れを中心に、初めてのVR体験に心躍らせる様子が印象的でした。
カジュアルビリヤード部「リアル×バーチャル融合体験」:VRChat上の本格ビリヤードを会場で体験。メタバース内のプレイヤーと会場の来場者がリアルタイムで対戦できる、現実と仮想が融合した新しい遊び方を提案しました。
クリエイターエリア:創造性の最前線とその熱量
国内で人気を誇るVRChatの中でも代表的なコミュニティ「FUJIYAMA」をはじめ、総勢14組の気鋭のクリエイターが出展。
AIアバターとの対話、VR交通安全体験など、グッズ販売にとどまらないデジタルクリエイションの広がりと奥深さを伝え、来場者がメタバースを“使う側”から“創る側”へと関心を移す大きなきっかけとなりました。
以上つのテーマを設けたエリアを設けることでメタバースにまだ触れたことがない来場者に対して角度の異なるアプローチができるようにしました。
各ブースでの活発な交流は、単なる技術展示に留まらず、メタバースが「人と人、想いと想いを繋ぐ新しいプラットフォーム」であることを証明していました。
ご出展いただいた皆様の熱意が、来場者の心を動かし、エリア全体の熱量を創り出してくださいました。
【具体的な取り組み②】オンラインとオフラインを繋ぎ、成果を最大化させた連携企画
エリア内の展示に留まらず、イベントの枠を超えた多彩な連携企画にも挑戦しました。
これは、オンラインとオフライン、それぞれのコミュニティの熱量を繋ぎ合わせ、成果を最大化するための重要な試みでした。
VRChatワールドコラボ企画
イベント期間中、VRChat内の人気ワールド「FUJIYAMA」および、世界中にユーザーを抱えるVRスポーツコミュニティ「VRCボクシング」とタイアップ。バーチャル空間内にミライLaboの告知POPを設置しました。
成果として、期間中に累計76万インプレッションを記録。イベント来場者以外にも広くリーチすることに成功しました。
メタバースアンバサダー企画
北は北海道、南は沖縄まで、日本全国から13名のクリエイターやプレイヤーに「メタバースアンバサダー」を任命。各々の影響力を活かした「コミュニティに溶け込む」PR活動を展開しました。
これにより、一方的な広告ではない、信頼に基づいた情報発信が実現しました。
→ミライLabo2ndにてメタバースアンバサダー一覧はこちらをご覧ください
オフライン交流会(オフ会)の開催
イベント初日の夜には、VRChatの人気コミュニティ「居酒屋『和み』」とコラボし、東海地方で最大規模となるメタバースユーザーのオフライン交流会を開催。
全国から100名を超える参加者が集い、バーチャルでの繋がりがリアルな笑顔と対話に変わる瞬間は、まさにメタバースの中と外を繋ぐ象徴的な夜となりました。
また、スペシャルゲストとしてマックスむらい氏も登場し、会場は大きな熱気に包まれました。
ミライLabo2nd専用メタバースワールドの制作
また、デバイスを選ばないブラウザ型メタバース開発エンジンVketCloudを活用した独自のメタバースも制作し、全出展者の展示内容が閲覧できるようにしました。
VR体験に抵抗があったり、帰宅後や後日も追体験ができるよう制作したメタバースにも多くの親子連れを始め、初めてメタバースに触れる来場者に好評でした。
→ミライLabo2ndメタバースはこちらからご体験いただけます
プロジェクトの成果と今後の展望
今回のプロジェクトを通じて、Webの知見と現実社会の課題を結びつけ、具体的な価値を創造できることを証明しました。
【プロジェクトの成果】
行政、NPO、民間企業、クリエイターといった多様なセクターを巻き込み、一つの目標に向かって場を創り上げた今回の経験は、複雑なプロジェクトを成功に導く調整力・実行力の貴重な実績となりました。
本プロジェクトの成功要因の一つは、コンセプト設計から企画、PR、リアルな場の手配に至るまで、プロジェクト全体を一気通貫で推進した点にあります。この一貫した体制が、机上の空論ではない具体的な価値の創出を可能にしたと考えています。
【今後の展望】
今回の実績は、「ミライLabo」が掲げる「未来の社会課題や可能性に向き合う」というテーマの重要性を、私たちに改めて示してくれました。
特に「環境」「スポーツ」「教育」といった分野とメタバース技術を掛け合わせることで生まれる体験価値の大きさを確信しています。
今回の成功体験を礎に、事業性と社会性を両立させた新たなイノベーションを、パートナーの皆様と共に社会に問い続けていきたいと考えています。
まとめ
僕が最も誇りに思う成果は、来場者数やインプレッション数といった数字そのものよりも、この場に関わってくださった全ての人の「熱量」が繋がり、未来への期待感が生まれたことです。
最後になりますが、本エリアの実現にご尽力いただいた出展者の皆様、クリエイターの皆様、運営関係者の皆様、そして何よりも、ご来場いただき未来を創る一員となってくださった皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
最先端技術を駆使するだけでなく、多様な人々を繋ぎ、現実社会の課題を解決するプロジェクトをゼロから創り上げることを得意としています。
- メタバースを活用して地域を活性化したい
- リアルイベントと連動した新しい体験を企画したい
- 最先端領域で具体的なプロジェクトを成功させたい
このような課題やご希望をお持ちの企業様、自治体の皆様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の挑戦を、企画構想から実現までワンストップで力強くサポートします。
ミライLaboとしてもご相談を承っております。お気兼ねなくご連絡ください。
\最後にお知らせです!/
当ブログでは、メタバースに関する情報発信の他に「メタバース制作や企画」「3Dアバター制作」「イベント登壇」「勉強会開催」など、様々なご要望にお応えできるサービスをご用意しています!
お気兼ねなくご相談をお寄せください!