ここ数年で一気にその名前が広まったメタバース。しかし、メタバースという言葉を聞く機会が増えたと同時に、「メタバースが失敗・流行らない」なんてことを見聞きしたりすることが増えたかもしれません。
メタバース自体はまだ途上にあり、その将来性からも市場は年々拡大していますが、失敗するケースがあるのも事実です。
では、その原因は何なのか。そしてどのようにしてこれらの課題を解決し、メタバースを有効に活用できるのでしょうか。
そこで、この記事では、メタバースの失敗につながる要因や、その解決策、さらにはメタバースの将来性。また、具体的な事例や失敗リスクを抑えたおすすめの使い方などを交えて詳しく解説します。
メタバースを取り巻く技術的、経済的課題から、成功への鍵となる要素まで、幅広くカバーしています。読むことで、メタバースに関する深い理解と、その活用方法に関する新たな視点を得られるので、ぜひお読みください。
佐藤 旭:起業家Vtuber / メタバースプロジェクト「Worweld」リーダー
2022年に初めてメタバースの世界に触れたことをキッカケに魅了され、「次世代のビジネスモデルをクリエイターと創り、他事業のマーケティングに貢献する」をコンセプトにメタバースプロジェクトを発足。
地方創生のメタバースプロジェクト参画や、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」内のイベント登壇などの経験があります。
この記事の目次
メタバースが失敗や流行らないと言われる9つの理由と課題
メタバースの世界は、無限の可能性を秘め、期待されていると同時に、数々の失敗から浮き彫りになった課題にも直面しています。
このセクションでは、なぜメタバースが失敗したと見なされるのか、その主な理由や課題を掘り下げて解説します。
技術的な限界から市場の受け入れ状況など、多岐にわたる要因がメタバースの普及を妨げています。
しかし、これらの失敗から得られる学びは、メタバースの将来性をより明るいものに変える鍵となるはずです。
まずは、メタバースの失敗がなぜ起こったのかを理解し、これらの課題をどのように克服できるかを考えてみましょう。
投資と期待のギャップ
まず1つ目に挙げられるのが、企業や投資家からの投資という期待に対するギャップです。
メタバースに対する期待は非常に高く、特にMeta社(旧フェイスブック)のような大企業からの巨額の投資が注目されています。これらの企業は、メタバースがもたらす新しい仮想空間でのコミュニケーション、ビジネス、エンターテインメントの可能性に賭けています。
日本国内でも2030年には24兆円規模にまで市場が拡大すると三菱総合研究所の調査結果が発表され、政府や行政、様々な企業がメタバースの活用に乗り出しています。
しかし、現実は期待ほどの速度で進んでいないのが事実です。多額の投資にも関わらず、一般ユーザーの間でメタバースが広く受け入れられていません。
また後述する様々な理由から、メタバースのポテンシャルを十分に発揮できず、「3D空間を作って終わる」というケースが散見されることからも「メタバースである必要があるのか?」などの疑問の声が上がっているのも事実です。
Meta社の例を見ても、彼らが提唱するメタバースへの巨額投資に対する市場の反応は、必ずしも肯定的ではありません。
このギャップを埋めるためには、ユーザーの実際のニーズに対する深い理解と、それを満たすための技術的な進歩とコンテンツ開発が必要不可欠と言えるでしょう。
ユーザーの環境で体験に差が大きく出てしまう
2つ目に、ユーザーの環境でメタバース体験に大きく差が出てしまうことが挙げられます。
メタバースの世界が提供する潜在的な体験は非常に魅力的ですが、ユーザーが直面する問題点はその普及を遅らせています。
特にユーザビリティやアクセシビリティの問題は、多くの利用者がメタバースを存分に楽しむことを妨げています。
特にメタバースは、VR体験を通して真価を発揮するとされていますが、VRゴーグルの用途や価格を考えると、一般的なユーザーが気軽に用意することが難しく、3D酔いのようにVRデバイス使用時に生じるVR酔いによる没入感を損ねることも少なくありません。
また、より没入感のある体験をするためにはハイスペックなPCが必要で、一般的に利用されているPCスペックでは十分な体験をすることができません。
スマートフォンから利用できるメタバースもありますが、これもやはり一定のスペックを必要とすることから、「手軽さ」という観点で言うと、「体験に一定の環境が必要になる」ケースが多く、こうしたことも体験機会を減らしている要因と考えられます。
場合によっては、PCのOSが対応していないために体験できないケースもあります。
こうした、高性能なデバイスや高速インターネット接続など、メタバースを利用するための技術的要件が全ての人にとって容易に利用可能でないことから、ユーザー体験に差が出てしまい、十分に楽しめないことが原因の一つとなっています。
経済的・社会的障壁
3つ目に、経済的・社会的な障壁が挙げられます。
一つの顕著な例は、仮想不動産の価格です。初期の盛り上がりにより価格が高騰したものの、その後急落し、投資家や早期採用者の間で不安を生じさせました。このような市場の不安定性は、メタバースへの投資や参加を躊躇させる要因となっています。
これは、NFTでも同じことが言え、初期に将来性を見越して投資目的で購入するも、その後市場が振るわずに、思ったようなパフォーマンスが発揮されないと、離れていってしまいます。
また、メタバースが特定のコミュニティーに受け入れられている一方で、一般市場での浸透が進まない現象も見られます。
先述した技術へのアクセシビリティの問題、デジタルデバイドに加え、文化的な障壁などが、広範なユーザー層にメタバースを受け入れさせることを困難にしています。
これらの社会的な障壁は、メタバースの概念が広く普及するためには克服しなければならない重要な課題です。
メタバース内コンテンツの質
4つ目に、メタバース内でのコンテンツの質が挙げられます。
メタバースにおけるコンテンツの質は、ユーザーがプラットフォームに引きつけられる上で極めて重要な役割を果たします。
しかし、現在のメタバースプラットフォームで提供されているコンテンツは、しばしばユーザーの期待を満たすものではありません。
多くの場合、コンテンツの没入感、インタラクティビティ、および創造性が不足しており、ユーザーに持続的な関与を促すことができていません。
特に昨今のコンシューマゲームや、スマホゲームといった日頃よく触れる3Dゲームやアプリはクオリティーが高く、それに日頃触れているユーザーからするとかなり低いものに感じられるケースがしばしばあります。
僕自身、初めてメタバースを体験した時、「初期のプレステやセガサターンのようなクオリティー」という印象を受け、コンテンツの質の高さを感じられませんでした。
このような状況は、メタバースの普及と成長において大きな障壁となっています。
これには様々な要因がありますが、一番は先にあげた体験環境に課題があると考えられます。なぜなら、より広いユーザー層に利用してもらおうとすると、必然的にスペックを下げざるを得ないからです。
また、メタバース自体が途上にあるため、1ワールドあたりで使えるデータ容量やポリゴン数に制限があり、一般的なゲームのようなクオリティーに仕上げることは現時点ではかなり難しい状況にあります。
用途・目的が曖昧で戦略不足
5つ目に、メタバースの用途・目的が曖昧なケースが多いことが挙げられます。
メタバースは従来のプラットフォーマーから一方的に与えられる環境下での体験とは異なり、ユーザーや製作者サイドでその目的や用途を決めることができます。
つまりは、自由度が非常に高いわけですが、故に「なぜメタバースなのか」という核となる部分が曖昧なケースが多く見受けられます。
ここまでで挙げてきた技術的な問題なども併せ、目的・用途までもが曖昧となると、最悪「クオリティーの低いただの3D空間」になってしまい、アクセスをしたユーザーが冷めてしまいます。
なんとなく3D空間で、ポリゴン数の少ない見栄えの悪い3Dオブジェクトに画像が貼られているだけの空間にユーザーが興奮し、率先して体験を求めるかと言えば、答えはNOなことは明らかですが、失敗するメタバースのほとんどはこの状態になってしまっています。
こうしたことを含め、
- メタバースをどう活用し、どこをゴールとするのか
- そのために何を行うのか
- 具体的にどのような調査を実施するのか
など、戦略不足故に失敗してしまうケースが多いのが現状です。
知識や事例が十分に浸透していない
6つ目に、十分な知識が浸透していないことが挙げられます。先述した通り、メタバースはただ作っただけでは全く意味がありません。
しかし、例えば社内やプロジェクトチームにメタバースに関する知識や事例を知っている人物がおらず、具体的な目的や用途が定められずに着手してしまうケースが多くあります。
メタバース自体、用途や目的といった事例が出てきているものの、広く認知されているわけではなく、まだ限定的なため、専門性の高い会社や人物が他の事業に比べて少ないのが現実です。
これは、NTTデータグループのコンサルティングファーム・クニエが発表した「メタバースビジネスの実態調査」からもその課題が浮き彫りになっています。
→500名への調査をもとに導いた、事業化に失敗するメタバース13の特徴(PR Times)
メタバースは先進技術を使った画期的なものですが、「他でも良いよね」となり、「メタバースでなくてはならない理由」にまで到達するに十分な知識や事例を持ち合わせていないが故に失敗するケースが多いと言えます。
クリエイターエコノミーが確立されていない
7つ目に、クリエイターエコノミーの確立が挙げられます。メタバースの特徴として、プラットフォームにユーザーがクリエイターとして参加し、様々な形で収益源を作れることがありますが、特に国内のプラットフォームにはこれがないケースが散見されます。
特にメタバースは3DモデリングやUnityなどのツールの使用経験がないとそもそも作ることができず、これには外部からのクリエイター参入が重要になってきます。
場合によっては、そのクリエイターや配信者が作ったからと言う理由でアクセスしたり、購買するケースもある中で、それができないと、遊ぶ以外の理由でアクセスをする理由がなくなってしまいます。
メタバースはこれが顕著で、ユーザー自らもイベントを起こしたり、商業活動ができるかどうかでその人気は大きく差が出ています。
既存のSNSやゲームとの差がないケースが多い
8つ目に、従来のSNSやゲームとの差がないケースが挙げられます。
「体験」の定義をどこに置くかにもよりますが、メタバースを体験するためには、一定の環境を整えるなどのハードルがあるため、単にプラットフォームが提供するコンテンツを消化するだけであれば、「その時だけで良くなり」「他の媒体でも良くなる」ということになってしまいます。
これは7つ目のクリエイターエコノミーとも深く関係があり、「メタバースの定義」に沿ってユーザー自ら体験を創造する機会を提供しないと技術的な問題からも「よりクオリティーの高いSNSやゲームでいいじゃん」となってしまうのです。
「メタバースとオンラインゲーム(MMO)」という方は、以下の記事で詳しくまとめてありますので併せてお読みください!
自社開発にこだわりすぎている・開発コストの高さ
9つ目に、自社開発にこだわりすぎているケースが挙げられます。メタバースの開発費用の相場は100万円〜1,000万円超と幅があり、特に自社開発をするとなると数千万円〜億かかってしまいます。
これは目指す業態が、プラットフォーマーなのかどうかにもよります。プラットフォーマーであれば、初期投資はかなり高額になりますが、「実際は特定の目的で使いたいだけ」ということもあるはずです。
メタバース市場はまだ黎明期と言えますが、既に一定のユーザーから支持を得ているものも複数存在します。
既存のプラットフォームやシステムを活用すればそれだけコストは削減できますし、ランニングコストも大幅に抑えることもできます。
これを知らない状態で「自社でメタバースを作るぞ!」となると、前者もしくはそれに近い状態となり、膨大なコストがかかるのに対し、改修をどのようにするのかが明確でないと維持ができず終わってしまいます。
以上の9つが現時点でメタバースが抱える課題です。失敗要因と絡めて分析してきましたが、結局は「明確な目的と戦略」が重要であり、ここが抜けるとメタバースにする理由がなくなり、ユーザーは興味関心を示してくれないことが分かると思います。
メタバースは失敗ばかりじゃない!成功事例もある
ここまでで、メタバースが失敗だ・流行らないと言う原因や抱える課題に触れてきましたが、逆にそれと同じくらいの、あるいはそれ以上の成功例も存在しています。
このセクションでは、メタバースが実際にどのように有効活用され、どの分野で成功を収めているのかを見ていきます。
一例として、教育からエンターテインメント、ビジネスまで、メタバースの可能性を最大限に引き出している具体的な事例を紹介します。
更に、成功の背後にある理由や戦略も深掘りして、メタバースの成功事例から何を学ぶことができるのかを探りましょう。
メタバースが単なる一過性の流行や失敗に終わる技術ではなく、多くの可能性を秘めた革新的な空間としてどのように活用されているのか、早速みてゆきましょう。
教育分野におけるイノベーティブな活用
メタバースは教育分野において、その潜在力を示し始めています。
具体的には、バーチャルクラスルームの実施や遠隔教育プログラムを通じて、学生と教師のエンゲージメントを高める革新的な方法が採用されています。
これらの取り組みにより、地理的な制約に縛られることなく、質の高い教育コンテンツへのアクセスが可能になり、学生たちはより柔軟に学習活動に参加できるようになります。
例えば、バーチャルクラスルームでは、学生は自分のアバターを通じて授業に参加し、リアルタイムで質問やディスカッションに参加することができます。
これにより、学生は授業により深く没入し、学習効果を高めることが可能になります。また、遠隔教育プログラムでは、VR技術を利用して実際に現地にいるかのような体験を提供し、学生がより現実に近い学習体験を得られるようにしています。
これらの教育分野でのイノベーションは、学生のモチベーションを高め、学習成果を向上させる有効な手段となっています。
メタバースが提供する新しい学習環境は、教育の質を向上させるだけでなく、学生と教師の関係を強化し、学習過程をより豊かなものにしています。
エンターテインメントとゲームの融合による活用
メタバースがエンターテインメントとゲームの分野で目覚ましい成功を収めている事例は、フォートナイトやロブロックスのプラットフォームに見ることができます。
これらのプラットフォームでは、バーチャルコンサートやイベントが定期的に開催され、世界中のユーザーを惹きつけています。
フォートナイトでは有名アーティストのコンサートが仮想世界で行われ、数百万人の参加者を集めるなど、新しい形のエンターテインメントとして広く認知されています。
これらの成功は、メタバースが提供する没入感のある体験や、リアルタイムでの社交的インタラクションの可能性を如実に示しています。
成功の背後には、ユーザーが共有できる体験の創出と、参加者同士のコミュニケーションを促進する環境があります。
エンターテインメントとゲームの融合により、ユーザーはただゲームをプレイするだけでなく、コンサートやイベントへの参加を通じて新たな楽しみ方を見つけています。
これは、メタバースが持つエンターテインメントとしての潜在能力を示すものであり、今後もこの分野でのさらなる革新が期待されます。
このようなイノベーションにより、メタバースは単なるゲームのプラットフォームを超え、新しい形の社会的空間としての地位を確立しつつあります。
フォートナイトとRobloxそれぞれについて、以下の記事で詳しくまとめてありますので併せてお読みください!
ビジネスとブランド認知の機会創出としての活用
メタバースはビジネスとブランドにとって革新的な機会を提供しています。企業はこの新しい仮想空間を活用して、消費者との関係を再構築し、ブランド価値を高める独自の方法を見出しています。
例えば、仮想空間での製品展示では、実際に店舗を訪れることなく、顧客が製品を体験できるようになっています。これにより、消費者は自宅の快適さから新しい製品を発見し、試すことができます。
また、メタバース内で開催されるイベントは、ブランドが顧客と直接交流し、関係を深める絶好の機会を提供します。
仮想コンサートやファッションショーなどのイベントは、参加者に独特の体験を提供し、ブランドの認知度を高めるのに役立っています。さらに、メタバースは顧客とのインタラクションの新しい形を可能にし、顧客サービスやマーケティング戦略に革命をもたらしています。
これにより、企業は消費者の関心を引きつけ、エンゲージメントを高めることができます。
このようにメタバースを活用することで、企業はブランドの物語性を強化し、消費者との繋がりを深める新しい方法を開拓しています。
メタバースがもたらすこれらのビジネスチャンスは、今後のマーケティング戦略やブランドビルディングにおける重要な要素となることでしょう。
バーチャルリアルエステートの成長としての活用
メタバース内での不動産取引、特にバーチャルリアルエステートの成長は、この新しいデジタルフロンティアで最も注目すべき現象の一つです。
投資家や企業が仮想土地を購入し、それをさまざまな目的で利用している様子は、メタバースが単なる娯楽の場を超えた価値を持ち始めていることを示しています。これらの仮想土地は、イベントスペース、広告スペース、あるいは単に投機的な資産として購入されています。
この動きは、メタバースが新たな経済圏としての地位を確立していることを示すものであり、その経済的影響は今後さらに拡大すると予想されます。
仮想世界内での土地取引の活発化は、物理的な世界の不動産市場における取引とは異なるダイナミクスを持っており、新しいビジネスモデルの創出や投資機会の拡大を可能にしています。
さらに、バーチャルリアルエステートの成長は、メタバースの将来性に対する信頼の表れでもあります。投資家や企業が仮想土地に資金を投じることで、メタバース内での活動や開発への期待が高まり、それがさらなる投資を呼び込む好循環が生まれています。
メタバース成功のカギと将来性について
メタバースが直面している課題は確かに大きいものがありますが、それを克服し成功へと導く鍵は何でしょうか?そして、その成功が我々の未来にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか?
このセクションでは、メタバースの成功を左右する要素と、その将来性について掘り下げていきます。
技術革新、ユーザーエクスペリエンスの改善、多様なコンテンツの提供、強固なコミュニティの構築、経済的持続可能性の追求など、成功に必要なさまざまな側面を解説します。
また、AIやブロックチェーンなどの最新技術がメタバースの発展にどのように貢献しているのかも見ていきます。
メタバースの可能性を最大限に引き出し、未来にどのような影響をもたらすかを知り、今後のメタバースがどうなってゆくのか、探ってゆきましょう。
VR体験のしやすさなど技術革新とユーザーエクスペリエンスの改善
メタバースを成功へと導く鍵の一つは、継続的な技術革新とそれによるユーザーエクスペリエンスの向上です。
具体的には、VRヘッドセットの軽量化や画質の向上、さらにはインターフェースの使いやすさが挙げられます。これらは、ユーザーが仮想世界に没入しやすくなる補助となり、結果としてメタバース内での体験がよりリアルで魅力的なものになって行きます。
VRヘッドセットの軽量化は、長時間の使用における快適さを大幅に向上させており、画質の向上は、仮想世界のリアリズムと没入感を高めています。
また、インターフェースの使いやすさの向上は、技術に精通していないユーザーでもメタバースを簡単に探索できるようにしています。これらの技術革新により、メタバースはさまざまな年齢層やバックグラウンドを持つ人々にとってアクセスしやすくなり、より幅広いユーザーベースを獲得することが可能になりました。
これらは、メタバースがただの遊び場ではなく、教育、ビジネス、エンターテインメントなど、多様な用途で価値を提供できるプラットフォームとしての地位を確立する上で不可欠です。
ユーザーがメタバース内での体験に満足し、継続して利用したいと感じるようになることで、メタバースのユーザー数向上はもちろん、活用されるシーンが増えてくるでしょう。
多様なコンテンツとエンゲージメントの強化
ユーザーがメタバースに繰り返しアクセスし、活用してもらうためには、提供するコンテンツの魅力の向上と多様性が必要不可欠です。
現時点でもメタバース内で展開される教育、エンターテイメント、ビジネス向けのコンテンツは、利用者に新しい体験を提供し、さまざまな興味やニーズに応えています。
例えば、仮想空間での学習プログラムは、伝統的な学習環境とは異なるインタラクティブな体験を提供し、学生の関心を引きつけます。エンターテイメント分野では、バーチャルコンサートや展示会が、全く新しい形の娯楽をユーザーに届けています。
ビジネス領域においても、メタバースは企業がブランドを展開し、顧客との関係を深める新しいチャネルを提供しています。これらの多様なコンテンツは、ユーザーがメタバース内で豊かな時間を過ごすことを可能にし、強力なエンゲージメントを生み出しています。
しかし、まだ使われるシーンが限定的なため、認知はもちろん、コンテンツの多様化には至っていないため、エンゲージメントも弱めです。
ここに力を入れることで、メタバースではなくコンテンツそのものに対して興味を持つユーザーを増やし、そこからエンゲージメントの獲得へと繋げて行けるはずです。
コミュニティ形成と参加促進に繋がる戦略
ユーザーが積極的に参加し、コミュニティ内で相互作用することは、エンゲージメントを高め、メタバースプラットフォームの魅力を増す重要な要素と言えます。
これを達成するためには、ユーザーが自分の興味や体験を共有し、他のメンバーとつながることを奨励する戦略が必要です。具体的にはイベントの開催、フォーラムやチャットルームでのディスカッションの促進、ユーザー主導のコンテンツ作成の支援などが、コミュニティの活性化に寄与します。
また、新しいユーザーをコミュニティに引き込む方法として、紹介プログラムやウェルカムイベントの開催が効果的です。これらの取り組みは、新規ユーザーがコミュニティ内で迅速に居場所を見つけ、参加する動機付けを得られるようにします。
さらに、既存のユーザーが新規ユーザーを歓迎し、導くことで、より包括的で支援的なコミュニティ文化を育むことができます。
ユーザー間のつながりが強化されることで、メタバースはより魅力的で活気ある空間へと進化し、さまざまな背景を持つ人々が交流し、協力する場となります。
経済的なエコシステムの構築
メタバースの経済的なエコシステムは、今後の課題の一つであり、参入者を一気に増やす大きなポイントと言えるでしょう。
現時点で海外を中心にNFTや仮想通貨でのやり取りがされていますが、ここにこだわらずとも、経済的な活動が行える場として昇華させてゆくことは今後の大きな課題です。
成功しているメタバースプラットフォームは、ユーザーが価値ある体験を享受し、その結果としてプラットフォーム自体も成長し続けることができる経済モデルを採用しています。
例えば、ユーザーが自身のアバターや仮想空間でのアイテム、不動産などを購入・販売することにより、メタバース内で独自の経済システムが形成されています。
仮想通貨はこの経済活動の中心に位置し、取引の透明性と効率性を高める役割を担っています。また、ブロックチェーン技術を活用することで、ユーザー間の信頼を構築し、セキュリティを確保しながら経済活動を促進しています。
このような仕組みは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツやサービスに対して適切な報酬を支払うインセンティブを提供し、同時にコンテンツクリエーターやサービス提供者にとっても収益を生み出す機会を創出しています。
ユーザー、クリエーター、投資家が共に価値を創造し、享受することができる環境を整えることで、メタバースは新たなデジタル社会の形成がさらに加速してゆくはずです。
AIなど最新技術への対応と適応
メタバースの将来性を大きく左右するのは、最新技術への適応とその進化です。AI(人工知能)、ブロックチェーン、5G通信技術などは、メタバースの発展において中心的な役割を果たす可能性があります。
これらの技術は、メタバース内での体験をよりリアルで没入感のあるものに変えるだけでなく、セキュリティやトランザクションの透明性を高め、ユーザー間の相互作用を改善することが期待されます。
例えば、AIはユーザー体験をパーソナライズし、バーチャルアシスタントやキャラクターをよりリアルに反応させることができます。
ブロックチェーン技術は、仮想世界内の取引の安全性と信頼性を保証することにより、デジタル資産の所有権を保護します。また、5G通信技術は、高速で安定した接続を提供することで、メタバース内での体験の質を向上させます。
これらの未来技術がメタバースにどのように統合され、メタバースをどのように変革していくかを理解することは、メタバースの開発者や利用者にとって極めて重要です。
これらの技術により、メタバースはただの仮想空間を超え、経済的、社会的、教育的な価値を提供する多次元的なプラットフォームへと進化するでしょう。
グローバルな普及戦略と文化的適応
メタバースの世界的な普及には、地域ごとの文化やニーズへの適応が欠かせません。グローバルな市場展開を成功させるためには、異なる文化的背景を持つユーザーがメタバースを受け入れ、活用できるような戦略が必要です。
これには、言語の多様性のサポート、地域特有のコンテンツの提供、文化的慣習を反映したイベントの開催などが含まれます。これらの取り組みにより、メタバースはより包括的なプラットフォームとなり、世界中のさまざまなユーザーに受け入れられるようになります。
また、地域ごとのユーザーのニーズに応じたカスタマイズは、メタバースが各地域でのニーズを満たし、それぞれの市場での成長を促進する上で不可欠です。
これには、地域に根差したマーケティング戦略、地元企業やクリエイターとの協力、地域社会の問題解決に貢献するプロジェクトの展開などが考えられます。
これらの戦略を通じて、メタバースはグローバルな規模での普及を目指しながらも、地域社会に根ざした価値を提供することができるでしょう。
グローバルな普及戦略と文化的適応は、メタバースが世界中で広く受け入れられ、多様な文化や価値観を持つユーザーに支持されるための鍵です。
このような取り組みにより、メタバースは異なる背景を持つ人々を繋げ、新しい形のコミュニケーションや交流の場を提供することが期待されます。
失敗リスクの低いメタバースに適した6つの活用法
ここまでで、メタバースの抱える課題と実際に成功した事例をもとに、どのようにして解決してゆくと良いのか。という考察をしてきましたが、「メタバースを何かしらの形で活用してみたい!」という方は多いのではないでしょうか。
そこで、このセクションでは成功事例や今活用されているシーンから考えられる「現時点でメタバースに適した活用法」をご紹介してゆきます。
メタバースと言えば、広大なワールドで大規模に何かを行う、などのイメージが持たれがちですが、発想しだいで様々な目的に併せたカスタマイズが可能です。
メタバースの開発にはコストがかかりますので、まずは以下を参考に小さく始めてみるのはいかがでしょうか?!
期間を決めたイベント開催や出展
1つ目が、期間を決めたイベント開催もしくは出展です。現時点でメタバースはホームページやSNSのような長期的運用には向いていません。
なぜなら、技術的にも社会的なユーザー認知的にも十分ではないからです。そのため、一定の期間を設け、そこにアクセスを集中させるイベント開催がおすすめです。
期間が短いことで、ランニングコストを抑えることができますし、イベント規模次第で開発コストも下げることができます。
更に、その期間でのアクセスやユーザー行動の分析に加え、アンケートの実施などを行えば、次にどう活かすかといったフィードバックを得ることもできます。
リアルでも、お祭りは期間が決まっているから集中して楽しめますが、それが毎日となると飽きてしまうのと同じです。
一つテーマを決めてイベント開催のためのメタバース制作。もしくは開催されるイベントに出店をしてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
独自コミュニティー向けの空間
2つ目が、独自コミュニティー向けの空間です。メタバースはプラットフォームごとに異なりますが、同時接続できるユーザー数に限界があります。
デフォルトの目安として10名〜50名なので、大々的にアクセスを集めるのは現実的ではなく、逆にこの幅を増やそうとすると、その分コストがかかってしまいます。
そのため、アクセスするユーザー層を独自のコミュニティーメンバーに限定するなどし、SNSよりも体験価値の高い場を提供することで、コミュニティーメンバーの満足度を高めたり維持する使い方があります。
特にコミュニティーの場合はテーマが決まっているので、「何をするための場なのか」という目的が明確なので作りやすく、メンバーが使いやすいのも特徴です。
バーチャル会議やリモートワーク
3つ目が、バーチャル会議やリモートワークの場です。メタバースと一言で言っても、広大なワールドもあれば、箱庭的な小さなワールドも存在します。
中でもリモートワークやバーチャル会議であれば、「Spatial」や「My Vket」で既存のテンプレートのみで簡単なワールド作成ができます。
画面共有なども行えますので、簡単なプレゼンはもちろん、人数オーバーさえしなければオンラインセミナーの場としても活用することができます。
これらの用途の場合、適したメタバースは上述したブラウザ対応モデルがおすすめです。
プロモーション活動
4つ目が、プロモーション活用です。1つ目の使い方に近くなりますが、目的を1つに絞ってしまうことでコストを大幅に抑えることができ、アクセスする目的が明確になるため、プロモーション活動がしやすくなります。
例えば、
- 何かの商品やサービスの発表をする
- 説明会を行う
- リアル会場と並行し、VR体験を通してプロモーションを行う
などが挙げられます。
オンラインショッピング
5つ目が、オンラインショッピングです。これはメタバースプラットフォームごとに規約や連動できるシステムなどが異なるため、きちんとした精査が必要ですが、一つ使い方として挙げられます。
特にメタバースの場合は、自分のアバターを通してその世界を擬似体験できる特徴があります。この特徴をうまく活かす形でユーザーに商品やサービスを擬似体験してもらい、気に入ったら特定の登録やECサイトへとアクセスしてもらい購買してもらう。なんてこともできます。
特定のテーマが体験できる場
最後に、6つ目が特定のテーマが体験できる場です。これまで挙げたことの複合的な使い方になりますが、体験を通して興味関心を持ってもらい、そこから購買や登録へ繋げるというのが分かりやすい導線設計でしょう。
以上6つが「メタバースをビジネス活用してみたい!」という方に失敗リスクが低く、同時にコストも大幅に抑えられる活用方法です。
まだまだ発展途上にあるメタバースですが、結局は企画と実行力次第でいくらでも広げ、活用することができます。とはいえ、いきなり大規模なことをするのにはコストもリスクも気になってしまいますので、小さく始めてみることをお勧めします。
まとめ
以上が、メタバースが失敗だ、流行らないと言われる原因や直面している課題。そして、成功事例を交えた使い方などについて解説でした。
かんたんにまとめると、ポイントは以下の通りです。
- 技術的制限と高いハードウェア要求は、ユーザー体験の質を損ね、メタバースの普及を妨げる大きな障壁となっています。
- ユーザー体験の問題点、特に直感的でないインターフェースや魅力的でないコンテンツは、ユーザーのエンゲージメントを低下させます。
- 経済的・社会的障壁もまた、メタバースの普及を阻む要因となっており、特に異なる文化や地域への適応が求められます。
しかし、教育、エンターテイメント、ビジネスなどでの成功事例や、技術革新によるユーザーエクスペリエンスの改善は、メタバースの将来性を示唆しています。
また、メタバースはいきなり大きく始めるのではなく、小さく始めることもできるので、まずは何かしら目的とゴールを設定し、短期間での運用を前提に取り組んでみることがお勧めです。
メタバースはまだ発展途上の技術であり、多くの課題がありますが、これらの課題を克服することで、メタバースは教育、エンターテイメント、ビジネスなど様々な分野で大きな可能性を秘めたプラットフォームへと成長することが期待されます。
今後メタバースがどのように進化し、我々の生活にどのように溶け込んでいくのか、その未来が非常に楽しみですね!
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